同居人は国民的アイドル
「翔、おはよ」
「はよー」
またあくびをしながら横を通り過ぎようとした翔が俺を見て不思議そうな表情をした。
「廉…………お前なんかあった?」
「え?」
翔の言葉に首を傾げると、
「朝っぱらからファンの子に営業してきたんだってー」
海翔が携帯から目を離さずにそう言った。
「あ、それで?
なんか今日の廉めっちゃ疲れてるっぽい」
「…………」
ついでに翔は勘も鋭い。
俺が疲れてるのはファンに営業してきたことじゃなくて、同居のことだと思うけど。
まさか自分のファンと一緒に住むことになったなんてこいつらに言えるわけがない。