海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
「…じゃあ、河原?」

クスクス笑いながら青山先生に呼ばれて、


「はい。」

私もつられて笑った。


青山先生から“河原”と呼ばれる事は、少しだけ新鮮な気分がした。



「これからどこに行こうか?あー…結構時間も遅いし、そんなに遠くは無理だね。」


青山先生に言われて時計を見ると、21時半を回っている。


「そうですねぇ…。」


そう答えつつ、


『少し位遅くなっても平気だけどな。』


そんな風にも思っていた。



「行き先は適当でいい?」

「はい。」


私は頷いた。


こんな風に男の人にリードしてもらえる事が、とても嬉しかった。




車を走らせていると、遅い時間にも関わらず犬を連れて歩いている人が目に入り、“話しのネタを見つけた!”という気持ちで、


「青山先生は動物好きですか?」

と、訊ねてみた。


青山先生は“えっ?”という表情を浮かべている。


「…動物?」

「はい、犬とか猫とか。」


そう言って、私は頷いた。



私は犬を飼っていた。


“もしも結婚したら、一緒に犬を飼いたい”


これが私の希望であり、小さな夢でもあった。
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