海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
「それまでは気が済むまで泣いたらいいよ!いつでも肩貸してあげるから!」


松井さんはそう言って、明るい笑顔で私を見た。


「ははっ、胸じゃなくて肩なんですか?」


「うん、肩!」


松井さんにつられて、私の顔にも笑顔が浮かんだ。


ほんの一瞬でも、私に笑顔をくれた松井さんに感謝した。



「いつかもっと好きになれる人に出会えるよ、きっと…。」


「そんな人に出会えるんですかねぇ…。」


私は本気でそう思っていた。


この恋が、私にとって最高な最後の恋だと思っていたから―…



「そりゃ出会えるでしょ、きっと。今はそういう気持ちになれないと思うから、“いつか”としか言えないけどね…。」


「そうですね…。ありがとうございます。」


「頑張れ。」


私を見つめて頷いた松井さんに合わせて、私もコクンと頷いた。



いつか、笑って相葉先生に


「おめでとう。」


そう言える自分になりたい。


心からそう思っていた。




いつもと同じように毎日が過ぎていき、松井さんに打ち明けてからしばらく経った頃、


情緒不安定だった私の気持ちは落ち着き始めていた。


その内徐々に、


『今なら相葉先生の結婚を祝福できるような気がする。』


そう、思えるようになっていた。


時間が傷ついた心を癒してくれているのだと感じていた。




秋の終わりの、よく晴れた日の夕方。


卒業してから約1年半という時間が私を躊躇させたけれど、ようやく私は相葉先生に電話をする決心がついた。


もしかしたら、単なる勢いだったのかもしれないけれど、


「結婚おめでとう。」


そう伝える事で、自分の気持ちに終止符を打とうとしていた。
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