海に降る恋 〜先生と私のキセキ〜
日に日に私は、『死にたい』と思うようになっていた。


イメージが頭に浮かぶようになってから、



『誰も愛せないような、こんな味気ない人生を生き抜く必要性があるんだろうか。


そんな一生は寂しくて、悲しくて、苦しいだけ。


もう苦しいのは嫌。


もう、嫌なの…。』



そんな思いが、常に心の中にあった。



海に沈んでいくイメージは、目を瞑っていても仕事中のほんの一瞬でも、誰かとお喋りをしていても、どんな時であっても自然と私の脳裏に浮かぶようになり、


食欲は落ちて、食べても吐いてしまう事が増えた。


家族にはそんな私の変化に気付かれないようにしていたけれど、


私の不眠はますますひどくなり、顔色は青白く、目の下のクマもひどくなっている。



でも、体調の事で辛いなんて一度も思わなかった。


それよりも、


『どうやって死のうか。』


それしか考えられなかった。




『最後の最後まで苦しみたくないから、一番楽な方法にしよう。』



私がいつも考えている事は、楽しい事ではなく、


“死ぬ方法と、その時期”


この事ばかり。


どう考えても普通ではなかった。



自分の心身がどういう状態であっても、時間はどんどん過ぎていく。


相葉先生が結婚するのは翌年の1月。


その日に近付いていく毎に、心の中で決まった事がある。




『死ぬ場所は海にしよう。


イメージ通りに海で死ぬ日は、相葉先生の結婚式の日。


その日だったら、


きっと先生は、一生私の事を覚えていてくれるだろうから。』



そう思う反面、



『本当にそれでいいの?


相葉先生はそれで幸せ?


喜んでくれる?』



心の中で、もう一人の私が問い掛けている。


私は答えた。



『それでいいんだよ』



その答えには、何の躊躇いもなかった。





季節は冬。

私は、ただひたすらその時が来るのを待っていた。
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