Only Three Months
PAST
ふたりとも、寝る準備ができて。
あとは、オレが話すだけ。


「…マイク、話して」
「本題に入る前に、聞いてもいい?」
「うん」
「IDって、どれくらいの情報が入ってるんだ?」


交流会のときに取られた情報。
それで、アリーがオレについて知ってる情報はあるんだろうか。

本人ですら、あのバッチにどれだけの情報が入ってるのかを知らない。
国の要請だって言われたら、そんな情報でもIDに詰め込まれる。


「必要に応じて、取り出す情報は違うの。
 交流会のときに、私がマイクの過去まで見ることはできなかったの」
「イチから話さないといけないんだな」
「嫌?」
「いいや」


アリーには、知って欲しい。
ずっと一緒にいれるわけじゃないけど。
オレはアリーの事情を知ってる分、アリーに知っていてもらってもいいと思う。

長い間学校が一緒な人より、会ってすぐのアリーに話したくなるとは。
きっと、エドに言われてなくても近いうちに話してた。
自分から言えてたかは分からない。
でも、学校でのオレの扱いを見たアリーが、きっと気になってくるはず。


ベットに座るオレの横に、アリーが座る。
横から見られてるのが分かるけど、わざと見なかった。


「…マイクには、どんなことがあったの」


深呼吸をひとつ。
上手く伝わるかなんて、話してみないと分からない。


「オレが今こうして暮らせてるのは、金が口座にあるから。
 生活自体はひとりだけど、金銭援助は受けてるんだ。
 小学校まで一緒に住んでた、叔母から」
「うん」


愚痴になりそうで、怖い。
アリーが、手を重ねてくる。


「オレの母親は、オレが生まれたときに亡くなって、記憶はない。
 父親は、3歳のときに亡くなった。
 ぼんやりと思い出せる顔はあるけど、それ以外はほとんど覚えてない。
 唯一覚えてるのが、父親とよく森の散歩へ行ったこと」
「それであのとき森にいたのね」
「ああ。森への散歩はよくしてたから」

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