Only Three Months
エドの家によって、オレの家へ。
日記帳と部屋着のスウェット、私服を何着か。
あと残ってるアップルティーのティーバッグ。
そこまで大きな荷物にはならなかった。

携帯が鳴って、取るとサーからだった。


「どこにいる?」
「家に荷物取りに来てます」
「そうか、今から迎えに行くが問題はないか?」
「はい、ありがとうございます」


サーの車は分かりやすい。
アルバートの紋章の、小さい旗がついてるから。
後部座席にエドと一緒に乗り込んで。

城に帰るまで、サーは何も話してこなかった。
エドとオレも何もしゃべらず。

同じように玄関に横付けされて、そのまま部屋に向かう。
エドは、一緒に来なかった。

タキシードをハンガーにかけて、スウェットに着替える。
ベットの隣の棚を使って、日記を開く。

アリーと出会ってからのページに、どうしても手が止まる。
そこを読んでも、寂しくなるだけなのに。
もっと長くいたかった。
守ってあげたかった。

でも、オレには可能性がある。
もう滅んでしまった国の、王位継承者。
…ヴィクトリアの王族に対しては、立場は弱い。

ただの庶民よりは可能性がある。
アリーが他の国の王子に会っても、オレを忘れない自信もある。

オレが考えることには限界がある。
ヴィクトリア内部のことも、アルバート自体のことも、知らなさすぎる。

アリーの城での状況を知ってる人で、助けられるのはオレだけ。
それが父親からの手紙で示されてた。
信じていればいい。

日記を閉じて、そのまま置いておいた。
片づける必要がなかったから。

目を閉じてみても、瞼にはアリーが映って。
エドが来たのも気付いてたけど、そのまま寝たフリをしてた。
< 86 / 133 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop