ぜんぶ抱きしめて。〜双子の月とキミ〜


『なあ、今どこにいる?』

「私……」

『俺、実は見たんだ。お前が公園のすべり台の上からいなくなったところ』


公園のすべり台。そう聞いてどきりと心臓が跳ねる。


『まるでイリュージョンみたいに、お前が夜空の中に消えてしまった』


想史は私がこっちの世界に来る瞬間を見たんだ。ということは、やっぱりこの世界は夢じゃなかった。夢なら、想史が目撃するのは公園で寝ている私の姿のはず。私は体ごと、この世界に来てしまっているんだ。


『あれから、お前は二日いなくなってしまったことになっているんだ。学校は風邪で休みってことになってるけど、おばさんもう参っちまってるし、おじさんは捜索願いを出すって言ってる』


二日も。前はこっちに一週間いても、元の世界では数十分しか経っていなかったのに。時間の流れ方もバラバラなのかな。


『昨日の夕方見舞いに来たら、朔かなりしんどそうでさ。でも一生懸命俺に話すんだよ。“瑠奈は別の世界にいる”って』

「朔が?」

『そう。朔は全てわかっているみたいだ。でも、俺にはさっぱりわからない』


朔は私が並行世界に行ってしまったことがわかるんだ。双子だから? それとも、いつものカン?


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