難攻不落な彼に口説かれたら
彼に胸に手を当て離れようとするが、両腕を掴まれた。

必死で抵抗するも、男性には力では敵わない。

「抵抗するだけ無駄」

冷たい目で小野寺君は私を見下ろすと、私の胸に顔を埋めてくる。

「嫌!」

そう叫ぶのがやっとだった。

誰か助けて!

誰か……仁。

仁……助けて!

目をギュッとつぶり、心の中で仁の名前を呼ぶ。

すると、ドアがガチャって開く音がして、「雪乃!」と叫ぶ仁の声が耳に届いた。

パッと目を開けると、仁が小野寺君の首根っこを掴んで私から引き剥がして……。

「雪乃は、お前のアクセサリーじゃない!」

仁は憤怒の光を宿した目で小野寺君に言い放った。

「偉そうな口叩くなよ!」
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