難攻不落な彼に口説かれたら
小野寺君は食ってかかると同時に仁に襲いかかった。

「小野寺止めろ!」

仁の後に入ってきた秀兄が小野寺君の身体を押さえると、そのままどこかへ連れて行く。

目の前で起きた出来事は、ほんの一瞬の出来事なのにとても衝撃的で、息が止まりそうだった。

「雪乃、大丈夫?」

仁は身を屈めると、気遣わしげに私に声をかける。

「……何とか」

そうは言ったけど、身体の力が抜けてヘナヘナと床にくずおれた。

私……助かった?

ショックが強すぎたのか、今になって全身が震え出す。
「強がりだな」

困ったように呟いて、仁は私の身体をそっと抱き寄せた。

「もう大丈夫だよ」
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