難攻不落な彼に口説かれたら
「明けましておめでとう」

仁は企み顔で生酒の入ったグラスをゴクッと飲むと、私の頰に手を添え口付けた。

すると、生酒のフルーティーな味が口の中に微かに広がる。

すぐに終わると思っていたキスは次第に深くなって、少し余裕のない表情で仁が言った。

「これだけじゃ足りない」

熱を帯びた目で私を見ると、仁は私を抱き上げて隣の部屋にあるベッドに運ぶ。

手前のベッドの布団を片手でガバッと勢いよくめくると、彼は私を下ろし、キスをしながら浴衣の帯を外していった。

胸元がはだけてブラが見えると、仁は微かに笑う。

「下着つけてたんだ?」

「つけないと不安だもん」

浴衣だと下着のラインが出るからつけない人もいるが、私の場合はつけていないと落ちつかない。

「すぐに取るけどね」
< 263 / 294 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop