難攻不落な彼に口説かれたら
動揺してうまく話せない私を仁がにこやかにフォローして、実家への挨拶は無事に終了。

父は「またいつでも帰ってきなさい」と笑顔で言う。

義理のお母さんにも「次帰って来る時は、インターフォン鳴らさずに鍵で中に入りなさいね」と優しく声をかけられた。

義理の妹は無言だったけど、顔を合わせるだけでも意味があったと思う。

滞在時間は三十分。

それは、私にとっては長い時間で、大きな一歩だった。

車に戻ると、彼に感謝の気持ちを伝えた。

「仁、ありがと」

「いいえ、どういたしまして」

仁は愛おしげに私を見て微笑む。

その瞳に映る自分を見て、こんなにも私は彼に愛されてるんだって実感した。

仁は、私の家族も大事に思ってくれている。

そう思うと、胸がジーンとしてきて涙が込み上げてきた。
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