例えば君に恋しても


「今、この場所で彼女にプロポーズさせて下さい。

ずっとずっと永遠に守りたい存在だと気付きました。

君の笑顔だけが僕の癒しです。

君だけを愛していきたい。

例えそれが僕だけの、永遠の片想いだとしても・・・美織、君が好きだよ。

僕と結婚して下さい。」


壇上から

こんなに離れた場所にいる私を見詰める新一さん。


聞いたことない名前にどよめき出す会場。

状況が分からずに

ただ

その目を見つめ返していた私の横から

「兄貴のバカさ加減は宇宙一・・・」呆れたように呟く仁の声が聞こえた。


「こんなバカなことをしてしまうほど、君が好きなんだけど

返事をくれる?」

会場のどよめきも

少しずつ静まり

新一さんの視界の先にいる私に注目が集まる。

「やめさせなさいっ!!今すぐ!!」

どこからともなく聞こえる婦人の声。


絶対にありえない話だよ・・・だって

例え君に恋をしても

叶わないと最初から知っていた。

例え君に恋をしても始まらない恋だって知っていた

例え君に恋をしても・・・許されないと知っていた。


優しいその笑顔

思わず駆け出していた。

だって

好きだから。

大好きだから。

彼のどこが?

答えられない。

でも

答えられることはただ一つ

叶わないと分かっていても

届かないと知っていても

ずっとずっと私は君だけに片想いし続けるんだろうってこと。


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