My.doctor…?
咲桜ちゃんがここに来て
1人から2人の生活に変わり
寒々しかった部屋が
一気に暖かくなった。


もちろん"入院"って事は
大前提にある。


だがこの生活…
悪くないとも思ってしまう。


当たり前だが
ずっと続く訳ではない。


そうした時
独りに戻るのは
どこか寂しい気がする。


俺は
いつからそんなに弱くなった?



「咲桜ちゃんとだからか…」



パソコンの画面を見つめながら
独り呟く。








彼女とじゃなきゃ
こんな気持ちにはならなかった。






柚花との一件で
咲桜ちゃんに対する気持ちが変わったのは確かだ。



その気持ちが
1人の女性として"好き"なんだと。



だが俺は医者だ。
患者を好きになって
プライベートを職場に持ち込む事は
俺自身が許せない。


だからこれ以上
深く彼女を思うのは…ダメだ。














「先生…」



咲桜ちゃんの事を考えていると
突然リビングの扉が開き
フラフラした足取りで彼女が現れた。



「咲桜ちゃん?どうした?」


「暑くて…」



答えながら彼女はその場に座り込んでしまった。


俺は慌てて駆け寄り
倒れない様に体を支えると
彼女の体が熱いのが伝わってくる。








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