うつりというもの
父は呼べなかった。

邪魔しようとすれば、父が首に殺されてしまう。

反対の窓から何とか出ても、その後、どこへ逃げれば?

ここから永凛寺は遠い。

仮に近い道空寺に駆け込んだとしても、結界のお札だけで護られるはずもない。

あ…

さらに気が付いた。

結界……?

そうだ。

ここは、結界の外。

どうして?

首は結界の中にあったのに…

遥香はその事実に更に恐怖した。

うつりによって霊力を与えられているからこそ、この首はこうして自分を襲っている。

慈澄の霊力は上がっていると弟子達は言っていたが、うつりは神だ。

この首自体の霊力もかなりなものだと言う事だ。

人の霊力など及ぶはずもなかった。
< 186 / 190 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop