甘え下手の『・・・』
「まったく…真面目って言うか頑固って言うか…素直になればいいのに」

真由香が呆れてしまうのもよくわかる。

「それが出来ないからこんな風になってるのよ。…恋愛ってやっぱり苦手だな」

恋愛経験はそれほど多くない。社会人になってからは仕事だけで余裕がなくて、本当に久々に付き合うことになったのがあの元カレだった。
学生の時の友達の紹介だった。けっこう強引に口説かれそのまま付き合ってしまったが、優しい人でだんだんと好きになっていった。歳も歳だったからもちろん結婚だって意識していた。まさか浮気された上に『一人で大丈夫だろ』なんて捨てセリフを言われてフラレるなんて想像もしていなかった。
それも私が素直に甘えられなかったのが原因なんだ。

「瑞希はさ、相手のこと考えすぎだよ。しかも余計な方にね。筧くんだったら、瑞希が『流されて』恋になっても全然ウェルカムだと思うよ?」

『とにかく!』と真由香は私の目をじっとみつめ、

「お泊まりは冗談にしてもいいから、楽しんでおいで。そんで、瑞希の気持ち、ちゃんと確認してきなさい。あんた絶対もう『好き』だよ?筧くんのこと」
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