Dance in the rain
えっと……YKD……って?
あたしの心の声を察知したらしい日下さんは、「広告代理店だよ」ってフォローした後、にんまりと、表情を緩めた。
「ずっと軽めの仕事ばかり選んできた翔也が、どうして今回、このオファーを受ける気になったのか、ずっと疑問だったんだけど……」
言葉を切って、上から下まで、あたしをチェックするみたいにじぃいって眺める。
「なるほどねえ。変われば変わる、っていうか、あいつも普通の男だったんだなあ」
そして、うんうん、て頷いた。
はあ……?
なんのことかさっぱりわからなくて、首を傾げていると。
「やっと来たな。遅ぇんだよ」
翔也の言葉で、動き回っていたスタッフさんたちがピタって動きを止めて、
その視線を一斉にあたしに向ける。
一気に注目を浴びて、おろおろしてるあたしに向かって、
不機嫌そうなオーラ全開の翔也が、近づいてきた。
長い手足にフィットするダークグレーのスーツを着て、ネクタイを少し緩めて。
手首には、太めのデザイナーズウォッチがシルバーに輝いていて。
それは刺激的っていうか、頽廃的っていうか……。
とにかく、なんか、ものすごく色っぽい。
直視できなくて、あたしは目を反らした。