Dance in the rain

「ね、ねえ……ちょっとこれ、後ろ開きすぎじゃない?」
着替え終わってカメラの前に立ったあたしは、
ウエストまでほとんど丸見えって感じの背中を気にしていた。

「大丈夫だって。お前、背中綺麗なんだから問題ないだろ」
近づいてきた翔也がさらりと口にして。
あたしはギョッとした。
「ちょ……何、言って……っ」

矢倉さんを見ると、にやにや笑いながらカメラを触ってる。
絶対、聞こえたよね、今の。

「ちょっと翔也ッ!」
抗議しようとして。

「……っ!」
くるりと。
翔也の腕が背中に回って、引き寄せられて。あたしは言いかけた言葉を、飲み込んだ。

「黙ってイイコにしてろ。ちゃんと後でご褒美やるから」
「ご、ご褒美……?」


にやりと微笑んだ翔也が、あたしの耳元に唇を寄せた。
「お前の望むこと、なんでも」

ごくっ……

電流が流れたみたいに全身が痺れて、身動きできずにいると。
翔也の手が、あたしの背中に触れた。
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