Dance in the rain

ぞくっ……

あたしの体を、片方の腕で支えながら。
翔也の指が、あたしの素の肌をたどっていく。

「や……しょう、……っ」
な、なんなの、この状況……っ……。

なんか、これって、やらしくない!? 
スタッフさんたち、見てるのに……!

心臓が、オーバーヒートしそう……

恐る恐る視線を上に向けると、あたしを見つめる翔也の目とぶつかった。

その眼差しの熱さに、甘さに、優しさに、
力が、抜けていく。

まるでスポンジケーキの上に立ってるみたい。
ふにゃって、足元が覚束ない。


パシャパシャ!


どこかでシャッター音が響いたような気がするけど。

聞こえるのは、心臓の音だけ。
感じるのは、うごめく指だけ。

どこにたどりつくのかわからない、難破船みたいに。
あたしの体はふわふわと、感覚をなくしていった。
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