Dance in the rain

は? は!?
な、何!?

「矢倉サーン! まだ時間大丈夫ですか!? ウェブ用、このままいっちゃいたいんですけど!」
日下さんが叫ぶと、矢倉さんは手を止めて、「構いませんよ」って頷いた。

「よかったな。矢倉さん、動画もうまいんだぜ」
平然と言う翔也を、クエスチョンマークつきで見る。

「ね、ねえ、ウェブって、動画って、何のこと?」

「ホームページに掲載する動画。さっきのカットに、動きがつくだけだけどな」
「動き……?」

あたしの言葉は、戻ってきた日下さんに遮られた。
「じゃあ、振り付け練習用のVTR、すぐに用意するからね」

は? ふ、振り付け?

あたしは強張った顔のまま、翔也に尋ねた。
「どういう……こと?」

「簡単なステップ踏むだけだって」
「踊る、の……?」

「平気平気! 心配しなくてもそんな難しいフリじゃないし。すぐ覚えられるよ」
あたしが固まってる理由を勘違いしたらしい日下さんが、なだめるように言う。

「大丈夫ですよ、こいつダンサーなんで」
「ちょっ……翔也!?」
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