Dance in the rain
「ほんとにありがとうございました」
何度も頭をさげるお友達ママに、美央ちゃんをお願いして。
事務所のドアを開けた時だった。
「さ、美央ちゃん、もうちょっと練習しましょ。本番に間に合わなくなっちゃうわ」
後ろでそんな声がしたと思ったら。
くいっ!
あたしのTシャツが、何かに引っ張られた。
「ん……?」
振り向くと……
「美央ちゃん?」
小さな手が、あたしのシャツをぎゅうって握りしめていた。
「どうしたの?」
さっきまでの笑顔はどこにもなくて、口を真一文字に結んだまま、あたしの背中に隠れようとしてて。
「えーと……?」
どうしたらいいのかわからなくて、戸惑っていると。
「美央、出ない」
ぽつりと、つぶやきが聞こえた。