Dance in the rain

「そんなこと言わないで美央ちゃん」
お友達ママが困ったように言う。
「みんな一緒だから、大丈夫よ」

「だって美央、下手だもん! みんなみたいに全然踊れないんだもん!」
ふるふるって唇が揺れて。
またぷっくり、涙の粒が盛り上がる。

踊れない……って?

「踊ろうよ美央ちゃん、教えてあげるから」
お友達が誘う。
「いいっ嫌っ! だって、できないの美央だけだもん!」
叫ぶように言って、あたしの服に顔を押し付ける。

ちっちゃな熱い、涙の感触——
気になったあたしは聞いてみた。

「そんなに難しいの? どんなの踊るの?」

「……フラギャラ」
顔を押し付けたまま、ぼそぼそっと声がする。
ふぅん。なるほど。へえ、フラギャラ、ね。

ところで。
「フラギャラって、何?」

あたしが聞くと、美央ちゃんがパッと顔をあげた。
涙の跡はそのままに、ぽっかーんって。
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