Dance in the rain

「何やってんだか……あたしは」

裏口から外へ。
ゴミ袋や段ボールの隙間、壁にもたれて、空を見上げる。

今日の空は、白く分厚い雲に覆い隠されて。
青い色なんてかけらも見えない。

まるで、翔也みたいだ。
何も、見えない。見せない。伝えない。
過去も……それから、本当の気持ちも。

昨夜潤子さんが帰った後、翔也はすぐに自分の部屋に入ってしまって。
今朝も、起きてこなくて。
結局、あたしは何も聞けなかった。
聞いたって、答えてくれるとは限らないけど。


わかってる。

あたしは翔也の彼女じゃないし。
何も言う権利はない。

勝手に好きになって、勝手に嫉妬して、勝手に不安になってるだけ。

翔也にとってあたしは、拾った野良猫でしかない。
かわいそうなヤツ。って、時々かまって、遊んでくれるけど。
それ以上の感情が生まれることはなくて。

空の輪郭が、ぼやけた。
< 161 / 264 >

この作品をシェア

pagetop