Dance in the rain

どうして……?

あたし、こんなに泣き虫だったっけ。

自分が、わからない。
こんな自分、あたしは知らない。
こんなの、あたしじゃない——



「ここにいたんだ。探しちゃった」

ハッと視線をおろすと、純さんがドアから顔を出していて。
あたしはサッと涙をぬぐうと、「すすすみません、すぐ戻ります」
って、壁から背中をはがした。

「あぁ大丈夫。お客さん、もう1組だけだから。兄貴に任せとこ」
そういうと、近づいてきて。

「やっぱり」
呆れたように言った。
「手当、まだだろ」

「あ」
指には、まだ血の付いたタオルを巻いたまま。

「す、すみません……」

首をすくめるあたしに笑顔を向けて、「ほら、見せて」って純さんが救急箱を持ち上げた。
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