Dance in the rain

純さんと一緒に店内に戻ると。
窓際でコーヒーカップに口をつけていた潤子さんが顔をあげた。
そして華やかな笑顔を浮かべる。

「相変わらずいい男ね、純」
「お久しぶりです、潤子さん」

「やっぱりうちにこない? カフェのイケメン店員じゃ、もったいなさすぎるわ」
「ありがたいお話ですが、今日はその話をするためにいらっしゃったわけじゃないんでしょう?」

純さんが、そっとあたしの肩を押した。
「さ、行っておいで。僕たちは、引っ込んでるから」

純さんの温かな微笑みに力をもらって。
エプロンをはずしながら近づいていった。

「野々宮花梨です。初めまして」
ぺこっと頭を下げると、潤子さんは「どうぞ座って」って促した。
向かい側の席に、あたしはおずおずと腰を下ろす。

「昨夜はごめんなさいね、ご挨拶もできなくて。小早川潤子です。よろしくね」
美しく仕上げられたネイルに見とれながら、あたしは名刺を受け取った。

「株式会社St.プロモーション代表取締役……」
代表って……つまり、社長!?
この美貌で、しかも経営者って。
どんだけ世の中不公平なの……。
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