Dance in the rain
応援したいのに。
翔也のこと、好きなのに。
どうして……笑ってがんばれって、言えないんだろう。
あたしは。
嫉妬してるんだ。翔也の才能に。
皆に認められる、求められる、翔也の才能に。
ポタ……ッ
アスファルトの上に、涙が染みた。
ヤダ……なんで、泣くの……。
泣くな!
乱暴に目元をぐいってぬぐっていると。
「どうしたのぉ君、こんなところで一人で」
ふいに酒臭い息を頬に感じて、あたしはギョッと飛び退いた。
「あれ、もしかして泣いてるの? 振られちゃったぁ? それとも家出かな?」
30代くらい?
崩れたスーツ姿のサラリーマンが、あたしへと身をかがめていて。
うわ。何この人っ!
「いえ、大丈夫です」
口の中でもごもご言って、立ち上がる。