Dance in the rain
必死の思いで、彼の体をぐいいいって押し戻した。
「……おい?」
急速にトーンダウンした翔也が、あたしを見下ろす。
「お前に拒否る権利、あると思ってんのかよ?」
「も、もしかしたらっ!」
「は?」
「怪我したのは、神様のメッセージなのかもよ? もうモデルはやめて、デザイナーに戻れって」
一気に。
室内の空気が、フリーザーに放り込まれたみたいに凍り付いた。
翔也はあたしを離すと、立ち上がって背を向けた。
冷蔵庫からミネラルウォーターのボトルを取り出して、あおる。
ごくごくって。
怒りを紛らわせるみたいに。乱暴に。
水滴がいくつも飛び散って、翔也の喉を濡らした。
ダンッ!
ボトルをシンクに叩き付けて、振り返った。
「潤子さんから聞いたんだろ。オレがデザインやめた理由」
ようやく吐き出された言葉に、あたしはためらいつつ頷いた。
「……盗作、されたんだってね」