Dance in the rain
「ふっざけんなっ!!」
叫んで、翔也の胸ぐらをつかんで、食器棚にダン!って、押し付けた。
ガチャンッ! 翔也の後ろで、食器がぶつかって悲鳴を上げる。
「っ……おいっ!?」
呆然とする翔也を、あたしは何度も揺さぶった。
「ぜんっぜん違う! 違うでしょうがっ!」
ゼイゼイって、息があがる。うまく、口がまわらない。
でも、あたしは渦を巻く感情を止められなかった。
「か、花梨……?」
「盗作されたって、どういうことかわかってんの?」
「は? んなの、文字通りだろ、オレは自分のデザインを盗まれて……」
「そうだよ、盗まれたんだよ。盗みたいって思わせるだけの才能が、翔也にあるから!」
瞬間。
翔也の目が、わずかに揺れて……開いた。
「それがどれだけ幸せなことか、恵まれてることか、わかる!? 必死に練習して、人生の全部賭けて足掻き続けて、でも結局才能がないって気づいて、絶望してあきらめる。そんな人間が、この世界に一体どれくらいいると思ってんの!? 翔也は贅沢だよ! 誰もが認める才能を持ってるのに、それを捨てようとするなんて。そんなこと許されると思ってんの!? あたしは翔也がうらやましいよっ!!」
「…………」