Dance in the rain

——ねえねえ、あれってモデルの中条瑠衣(なかじょうるい)じゃない!? めちゃくちゃかわいー!
——足、なっが! 一緒にいる彼も、モデルかな? すっごいお似合い〜!

観光客らしき女の子が、興奮気味にささやく言葉が、耳に流れ込む。

お似合い、だよね。
あたしなんかより、ずっと。
翔也とあたしじゃ、住む世界がまるきり……


「野々宮花梨さん?」
背後からかけられた声で現実に引き戻されたあたしが振り返ると。

背の高い、ラガーマンみたいにがっちりした体格の男性が、近づいてくるところだった。
……この人は……?

「ヴィヴィ・ランを担当してます、YKDの新条です」
受け取った名刺には、YKD営業部、新条和馬って書かれてた。
YKD……? えっと、つまり……。

「お話は日下から聞いてますよ。今日はよろしくお願いします」
そっか、日下さんの同僚なんだ。
あたしは爽やかな笑みを浮かべる彼に頭を下げた。
「こっこちらこそ、よろしくお願いしますっ!」

「会場は、隣のセカンドタワーとの連結部分にある中庭になります。ほら、ここから見えますよ」
新条さんがあたしを手招きして、窓の外を示した。
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