Dance in the rain
2階席から舞台を見下ろすくらいの距離かな。
花壇や芝生、日本庭園まで造りこまれた空間が見渡せる。
中庭っていうより、小さな植物園くらいあるかも。
そこではもう大勢のスタッフさんが行きかって、ステージを組み立て始めていた。
「雨天の際は、このロビーでの開催となりますが、まあ、今日の空なら、このまま野外開催で問題ないでしょう」
そして新条さんは、胸ポケットからカードを取り出した。
「こちらの部屋を、控室としてお使いください」
差し出されたのは、カードキー。
これって、ホテルの部屋の?
「あの……あたし一人で、使っていいんですか?」
「ええ、構いませんよ」
こんな高級ホテルの部屋を控室に、なんて。
ヴィヴィ・ランて、相当大きな会社なんだな。
「では、オープニング、楽しみにしていますね」
新条さんの背中を見送ってから、あたしは視線を再び中庭へと戻した。
指示を出す人、運ぶ人、組み立てる人……。
こんなたくさんの人が関わってる一大イベント。
あたしは、そのオープニングを飾らなきゃならない。
あたしにそんな大役、務まるの……?
だんだん、頬が強張っていく。
絶対失敗なんてできない。
がんばらなきゃ——