Dance in the rain
布団の中で涙目になるあたしの耳に、くくくって抑えるような笑い声が聞こえて。
いきなり、勢いよく布団が持っていかれた。
「きゃあっ! ちょ、ちょっと!?」
「行くぞ」
「は?」
「行くとこないんだろ。空いてる部屋あるから、おいてやるよ」
「だよね……って、は……えっ!? えぇ!? マジ!?」
予想外の言葉に、あたふたオタオタ、意味不明のゼスチャーを繰り返すあたしを見て、彼はまた、爆笑した。
◇◇◇◇
「お、お邪魔……します」
タクシーに乗せられて着いたのは、築10年以上は経ってるっぽい、ごく普通の3階建てアパート。
自転車置き場に、子供用自転車や、チャイルドシート付き自転車が置かれてるから、ファミリー向けなのかも。
タワーマンションとか、デザイナーズマンションとか案内されたらどうしようってビビっていたあたしは、ちょっとホッとした。