Dance in the rain
◇◇◇◇
「んっ……!」
あたしは、ベッドの中で猫みたいにぐーんって伸びをした。
目を開けると、室内はもう明るい。
あたしはゆっくり、昨夜の出来事を一つ一つ思い返した。
たった1日なのに。
濃い24時間だったなぁ。
昨夜シャワーを浴びた後、もしかして襲われるかも? ってしばらく緊張して起きていたんだけど、もちろん何もなく。
いつのまにか熟睡しちゃったらしい。
時差ボケが解消されたせいか、すごくすっきりしてる。
ベッドから降りて、外を眺めた。
1階に植えられた木が、この部屋の目の前まで枝を伸ばしていて。
生い茂った葉っぱ越し、埃をかぶった綿みたいな灰色の雲が見え隠れしてた。
雨は、止んでるっぽいな。
「お腹すいた……」
そういえば、昨夜のオムライス、食べ損ねちゃった。
着替えを出そうと、スーツケースを引き寄せたあたしの視界に、
壁の時計が入った。
「げ……もう11時!?」
うわ、そんなに寝ちゃってたの!?
翔也にお礼、言いたかったのに。もう出かけちゃったかな。
あたしは部屋を飛び出した。