Dance in the rain
そのあたしを、上から目線でにやにや見た翔也は。
「ほお、オレが優しくないって? 昨夜風呂場でぶっ倒れたどこかのバカを救出してやったのは誰だったっけ?」
「ああああああれはあっ!」
「風呂場?」
「救出?」
ギョッと目をむいた純さんとマスターに、あたしは急いで弁解した。
「あの、お風呂入りながらスマホで映画見てて……それで」
なんだかのぼせて、くらくらして。
ドアを開けたところで記憶が飛んだんだよね。
気が付いたらベッドに寝てた。ちゃんとパジャマ着て。
う。そうだよ、思い出しちゃったじゃない。
昨夜、オールヌード見られちゃったこと。
でも、朝もいつも通りで。顔色一つ変わらなくて。
なんかそれって、ちょっと……ショックだった。
女として見られてないってことだよね?
べ、別に、見てほしいってわけじゃないけど……っ。
わずかに肩を落としたあたしの頭に、ふわって、温かな重みが加わる。
翔也の、手——
「ほんっとうちのどら猫は手がかかる」
くしゃくしゃってそのままあたしの髪をかき回す。