Dance in the rain
「翔也!? ちょっと、いくら純さんのモテっぷりがうらやましいからって」
「なんだそれ。んなわけねえだろ」
翔也は、サラダに伸ばしていた箸をくいって純さんに向けた。
「こいつは優しすぎるから、面と向かってごめんなさいが言えねえんだよ」
「うーん……まあ、そうかもしれないね。確かに、どうやって断ればいいのかなって、いつも悩んでたから。翔也には助けられたかも」
頭越しに交わされる2人の視線が気になって、あたしはチラチラって目を上げた。
そういえば……仲いいよね、翔也と純さんて。
幼馴染って、そういうものなのかな……。
首をひねりながら。
あたしはから揚げにカプって食いついた。
◇◇◇◇
「じゃあまた明日。気を付けて」
「ごちそうさまでした。おやすみなさい」
“雨音”が入るビルの上階に住む仁科兄弟と別れて、あたしと翔也は、並んで夜道を歩き始めた。
今夜は、久しぶりに澄んだ夜空が広がっていて。
ネオンに圧倒されがちなそこにも、いくつか星を数えることができた。
半そでを揺らしていく夜風を心地よく感じながら、あたしたちはぽつりぽつり、言葉を交わしながら歩いていく。