Dance in the rain
「だってさ、彼、恋人いたから。あたしずっと知ってた」
「え……?」
「彼がお店にパソコン持ち込んで何してるかっていうとね、スカイプなの。すっごくきれいな女の人と話してた」
——夏には遊びにおいで。日本みたいに蒸し暑くなくて過ごしやすいし、晴れ続きで観光にはぴったりだから。
液晶画面の中、チラッと見えた彼女のうれしそうな笑顔。
今でも覚えてる。
あの人だった。
交差点で彼を待っていた、あの人。
幸せいっぱいって、春みたいな空気に包まれた、あの人。
「ほんとのこと言うとね、少しだけ……期待してたの。拓巳さんが、彼女とうまくいかなかったらって。遠距離みたいだったし、そしたらあたしにもチャンスあるかなって……。バカみたい。最低だよね、あたし」
唇をかんだ。
あんな幸せそうな2人が、想いあってる2人が
別れることを願うなんて。
なんて嫌なやつなんだろう、あたし。
「あたしみたいなヤツ、誰にも愛されなくて当然かぁ。性格も外見も、全然女らしくないしねぇ」
みじめったらしい愚痴が零れ落ちる。