Dance in the rain

これから、一体どんな顔して会えばいいんだろう?
手を洗いながら考えていると。

「ん……?」

水が、黒い。流れていく水が、黒いの。

なんで?

クエスチョンマークを浮かべつつ、何気なくあたしは顔を上げて。
目の前の鏡に映った自分を、見た。


「ひえええええええええっ!!!」

バスルームに、あたしの悲鳴がこだました。

だって。だって!

あたしの目は、ぐるりとパンダみたいに黒く塗りつぶされていて。
口の周りには、髭みたいな線が何本も引かれていて。
ハロウィンの仮装でももう少しマシでしょ、ってオソロシイ顔になっていた。


「何よこれぇっ!?」

翔也だっ!! 絶対あいつだ!!

「何てことしてくれんのよおおおっ!」

ガキだ!
あいつは、ほんとに、ガキんちょだああっ!!

「翔也のばかぁああああっ!」

あたしは一人、絶叫した。
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