Dance in the rain

「でも、どうして翔也が僕のこと好きだとか思ったの?」
純さんが、まだ肩をぴくぴく揺らしながら聞く。

「だって……純さん宛ての告白、全部翔也が断ってたって聞いて。それにあの……実は寝言で『ジュン』て言ってるの聞いちゃって。すごく苦しそうっていうか、切なそうに」

サッと。
純さんの顔から、笑みが消えた。
そしてさりげなく、あたしから目線をはずした。

「あぁ……それ、たぶん僕のことじゃないよ」
「え?」
「それはきっと……」

リリリリーン……

お店の電話が鳴って。
純さんは言葉を切ると、カウンター横の子機に手を伸ばした。

「はい、カフェ“雨音”……え、翔也?」

翔也?

純さんは、あたしを振り返ると、手招きした。

「花梨ちゃん」
「は、はい?」
「翔也からだよ」

手渡された子機を、反射的に耳にもっていく。
「はい?」
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