Dance in the rain

15分くらい住宅街の中をくねくねと歩いて、ようやくそこについたあたしは。
「ここ……だよね?」
背伸びをして、中を覗き見た。
看板も何も出てないけど、住所はここで、間違いない。

ぐるっとレンガ塀で囲まれたその向こうにあるのは、オンボロのプレハブ倉庫っぽい建物。
雨どいとか錆びついてて、欠けてるし、ペンキもハゲハゲだし。
震度1でも崩れるんじゃないの? って雰囲気だけど。
こんなところで翔也ってば、何してるわけ?

駐車場に停まった黒いバンを横目に見ながら、あたしは入り口へ向かう。

開け放たれたチープなドアから続く薄暗い廊下には、段ボールや脚立なんかが雑然と積み重なっていて、さらに怪しさ満点。

どうしよう……勝手に入っていいのかな。
それとも、まず翔也に電話した方がいいかな?

迷っていると。

ずる……ずる……

かすかな音がして。
中からゴミ袋を引きずった、黒いTシャツ姿の男子が出てきた。
ひょろんて細い上、顔色もよくなくて、エノキみたいなヤツ。

あたしを目に留めると、
「あぁダメだよ、関係者以外立ち入り禁止だから」
つっけんどんに言い放つ。
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