Dance in the rain
「え?」
「ここ住宅街だしさ、こういうとこで出待ちされると困るんだけど。最近多くて、ほんとまいっちゃうよな」
で、出待ち? は?
訳が分からないまま、押し戻されて。
「あ、あのあたしはそのっ……」
どうやって説明したらいいの?
「あぁ来た来た! やぁっと来た! 君、野々宮花梨ちゃんだろ?」
その時、エノキ男子とは対照的な、小太りの中年男性が廊下の奥から駆けてきた。満面の笑みを浮かべて。
「え……日下さんの知り合いっすか?」
「俺の、じゃないよ。翔也の、だよ」
「しょ、翔也さんのっ!? す、すみませんっ! 自分、何も知らなくてっ」
エノキ男子は、あたしにガバッと勢いよく何度も頭をさげた。
な、何がどうなってんの?
狐につままれたみたいにぽかんとしていると。
「待ってたんだよ〜ささ、早く行こう」
日下、って呼ばれた男の人が、あたしの腕をほとんど引っ張るみたいにして、中へ案内してくれた。