溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~
私と理一をずっと見てきた美鈴さんの言葉にはやっぱり重みがあって、私は黙り込んでしまう。
私が出て行って、理一もきっといろいろ考えてくれたんだろう。今まで譲らなかったこだわりを捨ててまで、念願のデビューをつかみとったんだもんね。
私だって、一緒に喜んであげたい気持ちがないわけじゃないよ。なんせ高校生の時からそばにいて、応援してきたんだもの。今でも情がないと言ったら嘘になる。でも……。
「……今の気持ちじゃ、戻るなんて、できないです。理一に申し訳ない」
ちゃんと信じてあげられなかった。最後まで応援してあげられなかった。
何より、今の私の心いっぱいに広がる存在は、もうあなたではなくなってしまった――。
「……やっぱり、エロ御曹司の方が今は気になる、か。稀華ちゃんの気持ちが第一とはいえ、二人を可愛がってきた姉さんとしては寂しいなぁ」
「すみません……たくさんお世話になったのに」
「謝ることじゃないわよ。エロ御曹司が稀華ちゃんを傷つけないかってことだけ不安だけど」
……美鈴さん。心配してくれるのはとってもありがたいけれど、そんなにエロエロ連発しないでください!
「か、彼にはちゃんと甲斐蓮人っていう名前がありますから!」
とうとう我慢できなくなり、声を張り上げながら酔いに任せてテーブルを拳で叩く。テーブルの上の食器がガチャンと派手な音を立て、美鈴さんが肩をすくめた。