溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~


一瞬の間のあとで、蓮人はふう……と深く息を吐き出した。そして私の体にバサッと布団をかけ、ベッドから出て行く。

その姿を目で追っていると、ジャケットのポケットからスマホを取り出した蓮人は乱れた前髪を後ろにかき上げながら、「はい」と電話に応答している。

……びっくりした。急に電話がかかってくるなんて。ぼんやりと蓮人の様子を観察しながら、私は火照った体を鎮める。

思ったよりあっさりと電話に出ちゃうんだな……。そりゃ、蓮人は会社の重役で、仕事関係の大事な電話かもしれないから、無視するのはよくないけど……少しくらい、名残惜しそうにして欲しかったな。

それにしても、誰なんだろう。電話の相手。


「……ああ。食事をしただけだ」


視線の先では少し面倒くさそうに、蓮人がそんなことを話している。


「それは、これからだ。アンタが来るまでには済ませるから心配するな。……じゃあ」


通話を終えた蓮人が、スマホを耳から離してこちらを振り返る。彼は少し寂し気に微笑み、豪華な絨毯の上に散らばる衣服を拾って、私の方に投げた。


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