溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~
「稀華……急いで着替えろ」
「えっ……?」
「それと……悪かった。俺の欲ばっかり押し付けて」
離れた場所で蓮人自身も着替えながら、不自然なほど乾いた、抑揚のない声で語る。
何を言っているの……? それに、なんでそんなに急いで着替えてるの?
受け取った服を身に着けようともせず呆然とする私に、さっさと着替えを済ませたシャツとスラックス姿の蓮人が近づいてくる。彼はベッドに腰掛けると私の頭を撫でて、優しく微笑んだ。
「俺からのプレゼントがまだだったよな?」
そう言ってくれる蓮人だけど、どうしてだろう。その発言が、手放しで喜べない。
だって、どう考えてもタイミングがおかしいじゃない。今まで渡すチャンスなんていくらでもあったはずなのに、ちょうど甘いムードが途切れてしまったところで、プレゼント……だなんて。
「そんなの……いいよ。ドレスも靴もバッグももらって、人生で初めてリムジンに乗って、美味しいフランス料理まで食べて……ずっと、蓮人が一緒にいてくれて。これ以上、欲しいものなんて……」