溺愛ペット契約~御曹司の甘いしつけ~
「今からここに、成瀬理一が来る。……お前を迎えにな。今の電話は、ホテルのそばまで来た合図だ」
「ま、待って……なに、それ」
理一がここに来るって……蓮人がどうしてそんなことを知っているの? 全く状況が飲み込めなくて、頭の中がパニックだ。
蓮人はそんな私を落ち着かせるように、ゆっくり私の頬に手を添えた。そして親指で唇をそっとなぞると、苦笑しながら言う。
「アイツとは、お前に手を出さない約束をしてたんだが……口紅がちょっと剥げてんな。……食事のせいにでもしとけ」
「何を言ってるのかわからないよ。ねえ、蓮人……ちゃんと説明して!」
不安な顔で、彼にしがみつく。けれど蓮人は私の視線から逃れるように顔を背け、私の願いを拒んだ。
「生憎そんな時間はない。さっさと服を着て、アイツに変な勘ぐりされないように、笑って出迎えてやれ」
「無理だよ! なんで、こんなに突然……っ」
駄々をこねるようにわめく私を蓮人は再びベッドに倒し、つらそうに歪んだ顔で懇願した。
「それが、お前のためなんだ。……頼むから、わかってくれ」
私はそれ以上何も言えなくて、ただツウっと目の端から涙をこぼした。
私のためだなんて全然納得できないけど……こんなにも苦しそうな蓮人を、これ以上追い詰めることなんてできない。