嘘つきな恋人
「普通、めんどくさくないオンナは
自分でなんでも出来るから、面倒な男は嫌いだろう。」とドラゴンは笑う。

「だからさ、ちっとも、続かないわけよ。
最近好きになった子も職人さんだったから、
仕事のことが第一で、好きになった男が出来たら、
その他大勢の俺の事なんか見てもくれなかったしねえ。
相手の男も俺より10歳年上だったから彼女の生活ごと愛する事が出来るオトナだったし、
敵わなかったかな。」と言うと、

「三島さんでも相手にしない女の子もいるんだ。」とさくらちゃんが驚いた顔をする。

「俺って見かけだけって思われる事が多いんだよね。」

「わかる気がするかな。
遊ぶオンナには不自由しないけど、ちゃんとした恋人は出来にくいタイプ。」
とドラゴンが笑う。

「ドラゴンみたいに?」

「『昔』の俺みたいにだよ。今はさくらと愛し合ってるし。」
とドラゴンは言い直して、カウンター越しにさくらちゃんの頬を撫で、
さくらちゃんが少し、頬を染めて、顔を伏せる。

店で時々、イチャイチャして見せるのは、
さくらちゃんに男を近づけないためだよな。とちょっと思い、

この人も案外独占欲が強い。
自分は店の中で、女の子にキャアキャア言われているくせに…

まあ、似てるって言えば俺に似たタイプかもしれない。
とちょっと呆れた視線を送ってやると、

ニイッと口の端を上げて俺を見た。
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