嘘つきな恋人
三島さんは黙って、私の手を掴んだままで江ノ電に乗り込み、

鎌倉に近い海岸の駅で降りた。

海沿いに立つ低層マンションの3階に三島さんの部屋はあった。

部屋に入って鍵をかけると、
三島さんは私を抱きしめ、壁に押し付けてくちづけをする。
頭を抱え、深く唇を割って、舌を使って口の中を探る。
歯列をなぞり、舌を絡め、お互いの吐息と湿った音が暗い部屋に響く。

長いくちづけに私が声を出すと、

「やっぱり好きな声だな。
店で、話してるのを聞いた時にもそう思った。」と唇を離し、

「このままする?シャワー一緒に浴びる?」と耳元で囁くけど、

「…先に浴びて良いですか?」と暗い中で見上げると、

「気が変わらないうちにどうぞ。」

と常夜灯が足元についた玄関に続く廊下の途中のバスルームに案内され、
明かりをつけようとするので、

「つけないで…」と言うと、

「オーケー。部屋も小さな灯りにしておく。」

と棚からバスタオルを渡してくれ、少し笑った声で出て行った。
< 12 / 138 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop