嘘つきな恋人
泣いたのが、三島さんのせいだと誤解させてしまった私は

三島さんとデートに行く羽目になってしまった。

「デートくらいしてもらわないと、割に合わないよ。
さくらちゃんも、お友達も怖かったし…」

って事らしい。

「お友達は芦沢 麦さんです。」というと、

「芦沢…って珍しい名前だけど…聞いたことあるかな?」

「ご主人が『あおい小児科』の医師です。
今年から麦さんのお父さんの院長を手伝っています。
…もしかしたら、生徒さんが通ってるんじゃないですか?
慢性疾患のお子さんは高校生になっても、そのまま診てることも、あるかもしれません。」

「ああ、そう!そうだったかも!」

と急に思い出したようで、何故か声が大きくなる。

「紹介しましょうか?
さっき、いらしたみたいですけど…」

「いや、いいよ。
ふたりの方が楽しいし…」

と私ににっこり笑いかけながら、人を避けて、私の手を引き窓際に移動する。

そお?
いつもは楽しそうにドラゴンと話してるじやない?


窓際で私に顔を寄せ
「リン、どこに行く?」と瞳を覗く。

…近いよ。と思いながらも

「どこがいいかなあ?」

とつい、言ってしまい、チョット照れ臭くなってしまった。
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