嘘つきな恋人
電車がまだある時間だったし、タクシーは呼ばずに帰る事にする。

店を出ると、細かい雨が降ってきたみたいだ。

春の雨。

持っていた折りたたみの傘を広げようと思ったけど、やめておく。

濡れて行きたい気分だ。


「いつでもおいで。」とさくらさんは私に微笑みかけてくれ、

そっと抱きしめて見送ってくれた。

「はい。」

と言って、前を向くと、我慢していた涙がこぼれた。
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