【完】こちら王宮学園ロイヤル部



……それはわかってる。

わかってるんだけど、わたしが言いたいのはそういうことじゃなくて。



でも、そういうことじゃないってなんだ。

何もそれに、問題があるわけじゃないのに。



先輩は大事なことはちゃんとわたしたちに伝えてくれているし。

これは先輩の仕事なんだから、わたしたちに言おうが言うまいが、関係ないはず。……なのに。



「……なんか、そういうの嫌です」



「……嫌ってなんだよ」



「わかんないですけど」



何かが引っかかって、自分でも上手く伝えられない。

カフェオレを飲むわたしが無意識にむずかしい顔をしていたようで、「眉間寄ってるぞ」と告げた彼は、もう一度カップに口をつける。




それから。



「怒ってるのか?」



「……なんでわたしが怒るんですか」



なぜかわたしに怒ってるのかと尋ねてきた。

別に怒ってるわけじゃない。怒ってるわけじゃないけどなんだかイライラして、もやもやする。



……あれ? これって怒ってる?



「怒ってるっていうより……

ちょっとだけ、拗ねてるんだと思います」



口に出せば、腑に落ちた。

だからこれは拗ねてるだけであって、断じて怒っているわけじゃない。そもそも正しいのは彼の方なのに、何に怒れって言うんだ。



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