【完】こちら王宮学園ロイヤル部



え……嫉妬?

嫉妬って……?と、頭の上にはてなが浮かぶ。



その疑問に気づいたように耳元でくすりと笑った彼は、「男と一緒に来ただろ」と一言。

一緒に来たって……大和のこと?



「……みさとも一緒でしたよ」



「知ってる」



「それに大和とみさとは付き合ってますし……」



わたしと大和の間には、もう何もないのに。

わかってるって言葉とは裏腹に腕の力を強められて、心臓の音がうるさい。先輩に聴こえてるんじゃないかな、と心配になる。



先輩の息遣いひとつにすらドキドキする。

何もないのに大和との仲を気にしてくれてるのかなって、嬉しくなってしまう。




「この間も、強引にキスして悪かった。

本当は、お前が来なかった数日。……これ以上避けられたらどうしようか、こう見えて結構本気で悩んだんだよ」



「先輩……」



そんなこと言わないでほしい。

いつも余裕げなくせに。……こんなときだけそんな不安そうな声で言われたら、さらに好きになる。



「南々瀬」



「……はい」



「この間、

もっと頼ってほしいって言ってただろ」



先輩にはっきりと告白されたあの日。

わたしは確かに、頼ってほしいと先輩に言った。あの日拗ねていたのだって、先輩のことが好きだから。もっと先輩のことを知りたかった。もっと頼ってほしいと思った。



< 313 / 655 >

この作品をシェア

pagetop