【完】こちら王宮学園ロイヤル部
え……嫉妬?
嫉妬って……?と、頭の上にはてなが浮かぶ。
その疑問に気づいたように耳元でくすりと笑った彼は、「男と一緒に来ただろ」と一言。
一緒に来たって……大和のこと?
「……みさとも一緒でしたよ」
「知ってる」
「それに大和とみさとは付き合ってますし……」
わたしと大和の間には、もう何もないのに。
わかってるって言葉とは裏腹に腕の力を強められて、心臓の音がうるさい。先輩に聴こえてるんじゃないかな、と心配になる。
先輩の息遣いひとつにすらドキドキする。
何もないのに大和との仲を気にしてくれてるのかなって、嬉しくなってしまう。
「この間も、強引にキスして悪かった。
本当は、お前が来なかった数日。……これ以上避けられたらどうしようか、こう見えて結構本気で悩んだんだよ」
「先輩……」
そんなこと言わないでほしい。
いつも余裕げなくせに。……こんなときだけそんな不安そうな声で言われたら、さらに好きになる。
「南々瀬」
「……はい」
「この間、
もっと頼ってほしいって言ってただろ」
先輩にはっきりと告白されたあの日。
わたしは確かに、頼ってほしいと先輩に言った。あの日拗ねていたのだって、先輩のことが好きだから。もっと先輩のことを知りたかった。もっと頼ってほしいと思った。