シンデレラの魔法は解けない





「藍ちゃんも、俺の前では気にしなくていいんだからね?」



「?」



「俺の前だからお洒落しないといけないとか思わなくていいんだからね?」





なんで平さんは、あたしの考えていることを分かってしまうんだろう。

お洒落な平さんだから、あたしも釣り合うようにならなきゃと思っていた。

今日だって、精一杯背伸びして着飾っているんだ。





「ありのままの藍ちゃんがいいんだよ」






平さんは罪な男だ。

その言葉が、あたしをさらなる深みに引きずり込むことを分からないのだろうか。

あたしはこうやって、どんどん平さんにはまり込んでいく。

付き合ってもらえるだけで嬉しいはずなのに、その心まで欲しくなってしまう。

あたしは……平さんをひとりじめしたいんだ。


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