シンデレラの魔法は解けない






大好きな平さんと、お洒落な店で美味しい料理を食べ、心も胃袋も満たされたあたし。

そんなあたしの手をそっと握る平さんに身を寄せた。

甘い香水と、平さんのほのかな香りにやられてしまいそう。

この時間がずっと続けばいいのにと思ってしまった。





「ご馳走様でした。

次はあたしがお金出しますね?」



「藍ちゃんは気にしすぎだよ」




平さんは優しく言う。




「お姫様は黙って奢られてなって」





お姫様だなんて。

今のあたしには、もはや平さんの魔法はかかっていない。

どこにでもいそうなごく普通のOLなのに。



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